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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
妊娠5 合併症妊娠3 陣痛発来時に著明な高血圧と頻脈を来し褐色細胞腫と診断された一例
山岸 絵美, 中井 晶子, 林 昌子, 桑原 智仁, 高橋 恵理佳, 山下 恵理子, 川端 伊久乃, 里見 操緒, 高橋 肇, 三田 俊二, 大屋 敦子, 中井 章人
日本医科大学多摩永山病院女性診療科産科産婦人科
【緒言】褐色細胞腫は副腎髄質などに存在するクロム親和性組織からのカテコールアミン過剰分泌により,高血圧,頻脈,頭痛,発汗等の交感神経刺激症状を呈する腫瘍である.今回我々は,陣痛発来と共に著明な高血圧と頻脈を来し褐色細胞腫と診断され手術に至った一例を経験したので報告する.【症例】31歳1回経妊1回経産.家族歴・既往歴:特記事項なし.現病歴:妊娠経過に異常なく妊娠40週1日陣痛発来にて入院.分娩経過中に血圧210/120mmHgまで上昇,妊娠高血圧症候群の診断でヒドララジン点滴を施行,NRFSのため吸引分娩で4250g,アプガースコア7/9点の男児を娩出した.しかし,分娩後も血圧下降傾向なく脈拍数160代の上室性頻脈,頭痛,発汗を認め,同日内科紹介の上で高血圧と頻脈に対しATP静注とニカルジピン点滴を行い血圧・脈拍数ともに一時正常化した.しかし,産褥4日目から再度間欠的に230/100mmHgに及ぶ高血圧を認め精査施行,尿中バニル・マンデル酸(VMA)値上昇,血中アドレナリンとノルアドレナリンの異常高値が明らかとなり,腹部CTにて右副腎腫瘍を認め131I-MIBGシンチグラフィーにて腫瘍部位に集積があり右副腎褐色細胞腫と診断した.産褥45日目に副腎腫瘍摘出術を施行し現在経過良好である.【考察】褐色細胞腫合併妊娠は約5万妊娠に1例と極めて稀である.発症は,子宮増大・腹圧上昇による腫瘍圧迫が関与するとされ,妊娠後期に多く,妊娠高血圧症候群との鑑別が困難である.妊娠中に診断されていない場合には母児共に死亡率が高い.妊娠・分娩時の高血圧には褐色細胞腫も念頭におく必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
193-193, 2009
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