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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
胎児異常4 臍帯など 胎児腹腔内臍静脈瘤の1例
乙め 雅子, 田島 浩子, 矢田 大輔, 中村 友紀, 小林 友季子, 平井 久也, 鈴木 一有, 伊東 宏晃, 杉原 一廣, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
【緒言】胎児腹腔内臍静脈瘤(umbilical vein varix,UVV)は,臍静脈の一部が胎児の腹腔内において拡張する異常である.UVVは,比較的稀な疾患であり本邦では報告例も少ないため,その取り扱いは確立されていない.今回我々は,予後が良好であったUVVの症例を経験したので報告する.【症例】35歳,1経妊1経産.近医にて妊婦健診を受診し,特記すべき異常はなく経過していた.妊娠32週より胎児の腹腔内に嚢腫様病変を指摘され,妊娠34週にて精査のため当科へ紹介となった.超音波による胎児横断像では,臍部から下大静脈へ連続する最大径20mmのエコーフリースペースを認めた.パルスドップラーにて内部には臍帯静脈様の血流を認めたため,胎児のUVVと診断した.静脈瘤内に血栓などは指摘できなかった.胎児発育は順調で,他の合併奇形も認めなかった.胎児心拍モニタリングにても異常を認めず,慎重に経過観察し,経腟分娩の方針とした.妊娠39週に自然陣痛が発来し,3200gの女児をApgar score8-9点にて経膣分娩した.臍帯および胎盤に異常所見はなかった.新生児の超音波では,すでに静脈瘤は同定できず,その後の児の経過も順調であった.【結論】予後が良好であったUVVの症例を経験した.UVVは,血栓症からIUFDに至る症例も報告されており,慎重な周産期管理が必要である.本疾患につき文献的考察も含めて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
194-194, 2009
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