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<< 学会誌へ戻る 臍帯に生じる腫瘍には様々なものがあるが，胎児発育や胎児の生存に何ら影響のないことも少なくない．一方で，その大きさや発生部位によっては臍帯血流を阻害し，胎児の生命を脅かすこともある．今回われわれは，臍帯の異常により，胎児に重篤な転帰をきたした2症例を経験したので報告する． 【症例1】20歳0経妊0経産婦．妊娠32週頃よりIUGRを指摘されていたが，超音波検査上，胎児奇形はみられず，臍帯血流にも異常はみられなかった．胎児心拍モニタリングでもreassuring patternであった．妊娠40週2日，体動減少，陣痛発来を主訴として来院．来院時，胎児心拍は聴取されず，超音波検査上も胎児心拍がないことが確認された．同日，PGF2αによる分娩誘発を行ない，2324gの女児を経腟分娩（死産）となった．児には明らかな外表奇形なし．頚部に2回臍帯巻絡があった．臍帯は辺縁付着で胎盤の臍帯付着部位に5cm大の腫瘤がみられた．病理組織診で，臍帯静脈瘤及び臍帯静脈の血栓が確認され，これにより血流の途絶が胎児死亡の原因と考えられた． 【症例2】20歳0経妊0経産婦．妊娠経過に特記すべき異常なし．妊娠40週4日，分娩予定日超過のため，分娩誘発目的で入院．入院時の胎児心拍モニタリングではreassuring pattern，子宮口は1指開大のため，同日，メトロイリンテル挿入．翌日（妊娠40週5日），自然陣痛発来．子宮口全開後，突然の80bpm台の胎児徐脈がみられ，吸引分娩を試みたが，児頭下降せず，緊急帝王切開で2679gの男児をApgar3/4で分娩となった．胎盤の病理組織診で，臍帯静脈血腫が確認され，これが胎児ジストレスの原因と考えられた． 今回の病態，経過について文献による考察を加えて報告する． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 195-195, 2009 |
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