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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
胎児異常4 臍帯など 胎児の短腸症候群により臍帯潰瘍を合併し自然分娩に至った一症例
村山 季美枝1), 森川 香子1), 西ヶ谷 順子1), 速水 麻紀1), 小池 敦子1), 渡邊 弓花1), 斉藤 寿一郎1), 石塚 文平2)
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学産婦人科2)
【緒言】先天性上部消化管閉鎖と臍帯潰瘍の合併という概念について,1991年にBendonらが発表した.上部消化管閉鎖は,出生後の治療により比較的予後は良好だが,臍帯潰瘍を合併すると児は出血性ショックに至り,予後不良となる例が多い.児の短腸症候群により臍帯潰瘍を合併した症例を経験したので報告する.【症例】34歳 2経妊2経産.初期より他院にて経過をみており,33週1日,健診時に経腹超音波検査にて胃十二指腸拡張の所見を認めた.消化管閉塞疑いの診断と,切迫早産徴候も認めたため入院管理となる.34週1日,経腹超音波検査上,胎児の全身浮腫を認めたため,管理目的に当院搬送となる.胎児水腫を認めており,またNSTモニター上はreassuringであっため,切迫早産の治療を終了し分娩の方針とした.破水時,血性羊水であったが,分娩は進行していたためそのまま経腟分娩に至った.児はAP:5/7,全身浮腫と全身チアノーゼを認めており,Hb:5g/dlと重症貧血であり,新生児科に入院となった.胎盤所見は,臍帯動脈の一部が瘤状に突出しており,断裂を認めた.児は,小児外科による手術で短腸症候群と診断した.胎内での嘔吐による臍帯潰瘍を合併し,臍帯動脈が破綻し,児は出血性ショックに至ったものと考えられた.【結論】先天性上部消化管閉鎖と臍帯潰瘍の合併は予後不良であることを認識し,胎児診断後は,児の娩出時期を見極めるため,綿密に管理する必要性があると考える.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
195-195, 2009
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