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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠1 診断に苦慮した卵管峡部妊娠の一例
間瀬 徳光, 室本 仁, 難波 直子, 岩見 菜々子, 竹内 沢子, 疋田 裕美, 上田 万莉, 山本 幸彦, 石田 友彦, 丸茂 元三, 森田 豊, 大橋 浩文
板橋中央総合病院産婦人科
子宮外妊娠は,腹腔鏡にて確定診断に至る例が多くなってきたが,腹痛,腹腔内出血などを生じてから診断に至る例もある.今回我々は稽留流産もしくは子宮外妊娠を疑い,子宮内容除去術を施行後,血中hCG値が下降していったが,突然の下腹部痛を生じ,卵管峡部妊娠の破裂であった一例を経験したので報告する. 症例は28歳.最終月経より5週間の無月経の後,市販の妊娠診断薬にて陽性となり,他院にてGS様超音波像を子宮内に認めた.当院受診後は,子宮内にGSは確認されなかった.出血,腹痛はなく,経膣超音波にて骨盤内に異常を認めなかった.血中hCGが5193 IU/mlと高値であり,経過より稽留流産もしくは子宮外妊娠を念頭に入れ,子宮内容除去術を施行するも,肉眼的に絨毛組織の存在は明らかではなかった.子宮内容除去術後,血中hCG値は連日低下していき,術後4日目には807IU/mlとなった.同日,突然の激しい下腹部痛を訴えたため,経腟超音波検査をすぐに施行したところ,ダグラス窩に腹腔内への出血が示唆された.子宮外妊娠の破裂を疑い,インフォームドコンセントを得た上で腹腔鏡を行った.腹腔内には約300mlの出血貯留があり,右卵管峡部が腫大破裂し,同部妊娠と診断した.右卵管切除術を行い,病理にて卵管峡部より絨毛が検出された. 本症例では,子宮内容除去術後に血中hCG値が下降していたのにも関わらず,子宮外妊娠による卵管破裂を発症した.子宮外妊娠の診断にあたっては,血中hCGや検査データのみならず,腹痛などの臨床症状が重要であると認識した.また卵管峡部妊娠の破裂では,症状が突発することも特徴的であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
199-199, 2009
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