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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
子宮奇形
片側腎欠損を伴った非対称性重複子宮奇形(Wunderlich症候群)の一例


高橋 尚子, 大塚 純子, 東 美和, 宮本 真豪, 横川 香, 小林 翠, 大森 明澄, 澤田 真紀, 横山 和彦, 齋藤 裕
藤が丘病院産婦人科


 今回,非対称性重複子宮と片側腎欠損を示した症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.症例は41歳,1G1P(1回帝王切開)既往として13歳で左卵巣嚢腫摘出を受けている.経過:H6年(26歳)骨盤位にて帝王切開施行し,手術所見で双角子宮を指摘された.H9年に不正出血・下腹部痛を繰り返し,経腟超音波検査で左膣血腫,右卵巣嚢腫を認めたため,右卵管開窓術,右卵巣腫瘍摘出術を行った.その際,子宮周囲の癒着が強く経膣的に血腫を穿刺した.その後も黄色・暗赤色帯下は持続し,経膣的にドレナージを施行した.H19年下腹部痛と強い炎症兆候を認め骨盤腹膜炎を呈しており,経腟超音波検査にて左膣側壁からダグラス窩付近に51X46mmの液体貯留を認めた.その後も入退院を繰り返しており,H20年12月のMRIにて膣嚢腫と子宮腔との交通が示唆され,双角子宮・子宮中隔が考えられた.症状繰り返すため骨盤内膿瘍および慢性腹膜炎の診断でH21年1月手術目的にて入院した.術前尿管ステント挿入を試みたところ,左尿管口は確認されず,左腎欠損を認めた.手術所見で子宮後面と腸間膜は高度に癒着しており,子宮頸部左側は下方に5cm大に腫大していた.単純子宮全摘術+右付属器切除術を施行した.摘出子宮に中隔が存在,右子宮内腔から左子宮頸部への交通を認めその先端は袋状に盲端となっていた.病理組織検査で,盲端部に扁平上皮を認め,体部に向かって頚管腺から子宮内膜組織が存在したことから,Wunderlich症候群と診断した.また右卵巣周囲の慢性炎症が見られたことから,盲端部の持続性細菌感染が右付属器炎,骨盤腹膜炎を繰り返したものと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 202-202, 2009


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