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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
子宮奇形 急性腹症をきたした小児期Herlyn-Werner-Wunderlich syndrome(HWWS)の1例
岩田 典子, 安達 博, 濱坂 奈菜香, 後藤 美緒, 黒崎 亮, 西岡 嘉宏, 尾崎 智哉, 渋谷 伸一, 中山 理, 鳥居 裕一
聖隷浜松病院産婦人科
Herlyn-Werner-Wunderlich syndrome(HWWS)は重複子宮,重複腟,片側の腟閉鎖による傍頚部嚢胞,患側の腎形成不全を合併する稀な先天性奇形である.急性腹症をきっかけに診断に至った小児期HWWSの1例を経験した.症例は10歳,女児.初潮後からの性器出血が持続しており,発熱,腹痛が出現したため,前医受診.経腹エコー上,嚢胞性腫瘤認め,卵巣嚢腫茎捻転もしくは付属器膿瘍が疑われ当科紹介.BT:39.2℃,腹部:熱感著明,左下腹部圧痛著明.血液検査:WBC 10160/μl(Neutro.78.3%)CRP3.1 mg/dl,経腹エコーで骨盤内に5cm大の嚢胞性病変を2つ認めた.緊急MRIでは子宮体部が右側に存在,2個の嚢胞性病変は連続しており,臨床症状をふまえると拡張した左側子宮及び腟と考えられた.子宮形態異常を背景とする月経モリミナが考えられ,全身麻酔下に緊急腟開窓術を行なった.術後MRIでは重複子宮を確認,経腹エコーで左腎臓の欠損もしくは形成不全を認め,HWWSと診断した.本症例では緊急を要する状態でありながら内診ができない年齢であり,画像的な診断が難しい状況であったため,確定診断が得られないまま緊急手術を行わざるを得なかった.また術後,確定診断に至ったものの病名の告知という面でも非常に苦慮した症例であった.若干の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
203-203, 2009
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