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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
子宮奇形
下腹部痛で発見された泌尿・生殖器複合奇形(Wunderlich症候群)の一例


横西 哲, 山田 靖, 宮本 強, 芦田 敬, 堀内 晶子, 塩沢 丹里
信州大学産婦人科


 胎生期のミュラー管の融合障害による生殖管奇形には,しばしば泌尿器系の奇形が合併することが知られている.今回我々は先天的な泌尿器系異常を有する初経前の児に,重複子宮と右側の膣壁閉鎖,右子宮留血腫を認めた一例を経験したので報告する.症例は9歳の女児で,3才時に右腎無形成と左腎盂拡張症の診断で左腎盂形成術と左膀胱尿管逆流症手術を施行されている.2008年12月に腹部膨満感と右下腹部痛を主訴に近医を受診したところ,骨盤内に巨大な嚢胞性腫瘍を認め卵巣腫瘍が疑われたため,2009年1月当科に紹介された.当科初診時,腹部は膨満しており,右下腹部に新生児頭大の腫瘤を触知し,同部に強い自発痛を認めた.局所所見上,膣右壁から嚢胞性腫瘤が膨隆しており子宮膣部は同定できなかった.MRIでは小骨盤内右側に内部にT1,T2ともに高信号を呈する径7cm大の嚢胞性腫瘤を認め,その左側に圧排された小さな子宮を認めた.嚢胞壁が厚いことから卵巣嚢腫よりも重複子宮の膣閉鎖を疑った.同年1月経膣超音波下に膣壁から嚢胞内容液を穿刺し,茶褐色血性の内溶液を600ml吸引した後に膣壁開窓術を施行したところ,右側の嚢胞は著明に縮小し,右側の膣閉鎖を伴う重複子宮であることが確認された.術後のMRIにて,重複子宮の右側子宮の背側に位置する右骨盤腎を認め,右膣閉鎖腔に連続していることが明らかになった.本症例は尿が右膣閉鎖腔に貯留したため比較的若年時に症状が発現したものと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 203-203, 2009


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