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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
感染症,その他
保存的治療に抵抗し,敗血症に至り,子宮全摘と両側付属器切除術を施行した両側付属器膿瘍の一例


秦 恵里子, 高木 耕一郎, 村岡 光恵, 長野 浩明
東京女子医科大学東医療センター産婦人科


 [はじめに]付属器膿瘍はPIDの重要な合併症の一つであり,破裂例では敗血症など生命を脅かす重篤な転帰を取ることもあるため迅速で的確な診断治療を有する.今回保存的治療に抵抗し,敗血症に至り,子宮全摘と両側付属器切除術を施行した両側付属器膿瘍の一例を経験したため,文献的に考察を加えて報告する.[症例]46歳,G1P1,不正出血を認め,他医にて子宮内膜細胞診施行.翌日より下腹部痛とCRP11.0mg/dlと炎症反応上昇.抗生剤治療にて改善せず39℃の発熱を認め当科初診.両側付属器鶏卵大で強い圧痛を認めCT並びに超音波検査にて付属器膿瘍と診断.WBC 22000/μl,CRP22.5 mg/dlと増悪していた.一旦は抗生剤に反応し炎症は改善した.再燃の可能性もあり手術療法も検討していたところ,抗生剤中止後,38.4℃の発熱とともにWBC 2500/μl,CRP 22.2 mg/dl,脈拍90/分と敗血症に至ったため,緊急開腹手術を施行した.膿瘍と子宮の癒着が強く挙児希望もないため,単純子宮全摘および両側付属器切除術を施行した.また術後はDICの管理を要した.病理では,両側卵管炎,卵巣炎を認め,左側は卵巣卵管の境界が不明瞭となっていた.培養ではE.coliを証明した.[考察]最近は付属器膿瘍の非破裂例ではまず保存的治療が勧められるが,本症例のように両側に膿瘍を形成している場合には,保存的治療のみでは治癒困難で重症化する場合もあるため,外科的治療のタイミングや方法については個別の検討が重要であると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 205-205, 2009


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