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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
不妊 卵巣過剰刺激症候群で,右卵巣茎捻転緊急手術に至った一例
小松 浩司郎, 伊藤 理廣, 五十嵐 茂雄, 岸 裕司, 今井 文晴, 水谷 亜紀子
群馬大学産婦人科
【目的】今回我々はhMG療法後に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)となり,双胎妊娠になったが,一児死亡後に右卵巣茎捻転で緊急手術に至った一例を経験したので報告する.【症例】症例は0妊0産で,H20年12月より原発性不妊のため前医にて初診し,その直後hMG+hCG+AIH施行し妊娠成立.妊娠5週2日でGS2個認められたが,同時に右卵巣72×59mm,左卵巣73×44mmと腫大し,腹満を自覚していた.妊娠8週4日,激しい下腹痛のため前医再診.右卵巣85×54mm,左卵巣79×71mmとやはり腫大しており,一児は死亡もう一児は児心拍を認めた.疼痛改善せず同日当院紹介受診.来院時右卵巣は10cm以上に腫大し,同部位を中心に強い自発痛あり,OHSS+右卵巣茎捻転の診断にて入院し,腰椎麻酔下に開腹右卵巣嚢腫茎捻転解除及び嚢胞部分切除術施行.開腹所見では腹水中等量認め,右卵巣径約11cmで多嚢胞性に腫大し,360度捻転していた.また左卵巣も径7cm程度に多嚢胞性に腫大していたが捻転は認めなかった.このため右卵巣捻転を解除し黄体嚢胞を摘出し形成,左卵巣は嚢胞を破砕した.術直後は児心拍を確認したものの,術後3日目には児心拍認められず,稽留流産と診断.この際右卵巣43×38mm,左卵巣39×25mmと両側とも縮小していた.開腹術後10流産手術施行,同日退院となった.【結論】今回hMG療法後に,OHSSとなった卵巣が茎捻転をひきおこし,緊急手術になった症例を経験した.過剰な排卵誘発は,OHSSの誘因となるばかりでなく卵巣茎捻転を引き起こす可能性があり,この点に留意し治療にあたるべきであると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
207-207, 2009
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