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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
不妊
卵管腹膜因子からみた配偶者間人工授精症例の検討


玉置 優子, 片桐 由起子, 宗 晶子, 松江 陽一, 北村 衛, 福田 雄介, 田中 政信, 森田 峰人
東邦大学医療センター大森病院産婦人科


 【目的】配偶者間人工授精(以下AIH)は生殖補助技術(ART)の最初のステップとして広く行われている.しかしながら,AIHの治療成績には限界があり,体外受精へのステップアップが必要な症例も多い.AIHの治療成績に影響を与える因子として,卵のピックアップ障害など卵管腹膜因子の観点からAIHの妊娠率について後方視的に検討した.【方法】当院リプロダクションセンターにて2008年3月から8月までにAIHを施行した245周期(108症例)を対象とした.開腹手術の既往,子宮内膜症,片側卵管閉塞など卵管腹膜因子の存在が予測された症例群(A群:n=33)と卵管腹膜因子は存在しないと判断された症例群(B群:n=75)に分け,それぞれの患者年齢,経産回数,AIH施行回数,精液所見,妊娠率について検討した.【成績】各群において,年齢,AIH施行回数に有意差は認めなかった.経産回数は,A群0.4±0.6対B群0.1±0.4であり,A群において有意に多かった(p=0.009).総運動精子数では,両群に有意差は認めなかった.妊娠率については,A群0%,B群5.03%であり,A群では有意に妊娠率が低かった(p=0.034).【結論】両群間における年齢,AIH施行回数,総運動精子数に有意差は認められず,さらにA群における経産回数は有意に多かったにもかかわらず,A群において妊娠例はなく,B群と比較して妊娠率は有意に低かった.卵管腹膜因子の存在が強く予測される症例では,AIHによる妊娠率は低いため,AIH治療の限界を考え,早めのステップアップを考慮する必要性があると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 208-208, 2009


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