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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
内分泌,思春期・更年期 ホルモン補充療法中に妊娠に至った早発卵巣不全の一例
沼尾 彰子, 石川 雅一, 川内 博人, 海野 信也
北里大学産婦人科
早発卵巣不全の統一された診断基準はいまだ明確にされていない.日本産科婦人科学会では40歳未満で卵巣性無月経となったもの.早発閉経と卵巣に卵胞が存在するにもかかわらず,抗ゴナドトロピン血症性無月経を呈するgonadotropin抵抗性卵巣症候群の両者を含むと定義している.今回我々は早発卵巣不全と診断し,ホルモン補充療法中に妊娠に至った一例を経験したため,過去の当院の症例3例と,若干の文献的考察を加え報告する.【症例】初診時19歳女性,0経妊,0経産.初経は13歳で以後月経は順であったが,17歳より無月経となった.前医で行った内分泌検査ではFSH 61.4mIU/ml,LH 21.9 mIU/ml,E2 12pg/mlであった.卵胞および黄体ホルモン配合剤を内服していたが,将来に挙児希望があり,精査とセカンドオピニオン目的で当院紹介受診となった.子宮は鶏卵大,経膣超音波断層法では卵胞は確認できなかった.当院で行った内分泌検査はFSH 67.8mIU/ml,LH 21.4mIU/ml,E2 <10pg/mlとHypergonadotropic hypogonadismであった.染色体は46,XXで,甲状腺機能異常は認められなかった.独身で,直ちに挙児希望がないため,将来の妊娠は困難であることをお話し,ホルモン補充療法を継続していた.2年後の2008年7月の最終月経後,高温期が持続するため当院受診し子宮内に胎嚢を認め,妊娠成立を確認した.妊娠経過は現在順調である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
209-209, 2009
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