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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
内分泌,思春期・更年期 酸化再生セルロース膜を使用した造腟術が有用であった先天性腟欠損症の1例
大内 望, 明楽 重夫, 米澤 美鈴, 里見 操緒, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
先天性腟欠損症に対する造腟法には今まで様々な種類の手術が施行されていたが,いまだ確立された術式は存在しない.今回われわれは,生体グラフトを用いず,酸化再生セルロース膜(インターシード[ジョンソン&ジョンソン社])を使用した低侵襲な造腟法を試み,術後経過良好であった症例を経験したので報告する.症例は18歳女性.15歳時,原発性無月経にて前医受診,先天性腟欠損症と診断されフォローアップされていた.18歳時にsecond opinion目的にて当科受診し,当科にて造腟術施行となった.手術は,腟入口部と思われる窪みにメスにて十字切開を加え,直腸と膀胱の間をDouglas窩腹膜直下まで指2本挿入できるまで鈍的に剥離した.腟入口部の十字切開によりできた皮弁を腟内腔に向かって反転させるように固定.再生酸化セルロース膜をプロテーゼに巻きつけ人工腟に挿入,大陰唇をプロテーゼが落ちないように絹糸にて閉鎖し手術終了とした.出血量は少量であった.術翌日プロテーゼ抜去し,酸化再生セルロース膜を再度巻きつけ再挿入した.その後自己脱着の練習をし,術後9日目自己管理可能となり退院した.術後1ヶ月,人工腟内のびらんもなくなり,腟鏡もSサイズが容易に挿入可,扁平上皮化生も認めた.術後3ヶ月,就寝時のみのプロテーゼ挿入でも腟の短縮・狭小化は認められず,扁平上皮も増加しており,経過良好,性交も許可とした.今回われわれが施行した酸化再生セルロース膜を使用した造腟術は,低侵襲で経過も良好であり,有用な方法と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
210-210, 2009
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