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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))
【一般演題】
内分泌,思春期・更年期 当科健康維持外来患者におけるWHO骨折リスク評価ツール(FRAX)の有用性に関する検討
堀場 裕子1), 平沢 晃1), 牧田 和也1), 弟子丸 亮太2), 柳本 茂久3), 野村 弘行1), 片岡 史夫1), 岩田 卓1), 冨永 英一郎1), 堀口 文1), 青木 大輔1), 吉村 泰典1)
慶應義塾大学医学部産婦人科1), 永寿総合病院産婦人科2), 埼玉社会保険病院産婦人科3)
【目的】閉経前の両側卵巣摘出は,骨粗鬆症や脂質異常症の危険因子として良く知られているが,2008年に世界保健機構(WHO)が開発したFRAXにおいては,その評価項目に含まれていない.しかもFRAXでは,骨密度が測定されていない状況でも10年以内の大腿骨頸部骨折の発生リスク(FRAXリスク)を計算し,評価することが可能であるとされている.そこで今回われわれは,両側卵巣摘出例を含めた婦人科諸疾患罹患例に対して骨折予防のための個別化介入を行う際に,FRAXが有用か否かを検討した.【方法】当科健康維持外来通院中の外来患者164例(悪性腫瘍既往例80例,良性腫瘍既往例9例,その他の疾患罹患例75例)を対象として,FRAX計算ツールに年齢,体格因子であるBMI,骨折歴,喫煙や内服薬の状況等の各因子を入力した.その上で,DEXA法で測定した大腿骨骨密度(BMD)を計算の際に入力した場合のFRAXリスク値(F-BMD+)と入力をしない場合のFRAXリスク値(F-BMD-)をそれぞれ算出し比較・検討を行った.【成績】1.全症例の平均のF-BMD+は7.5であり,F-BMD-の8.2と比較して両群間に有意差は認められなかった.これは悪性腫瘍,良性腫瘍,その他の3群で比較した場合も同様であった.2.40歳から70歳までの各F-BMD+とF-BMD-を比較すると,高齢になるにつれその値は高くなる傾向があるが,両群間に有意差は認められなかった.【結論】今回の検討でもFRAXリスク値は,年齢因子の影響が大きいと考えられたが,婦人科諸疾患罹患群においても骨密度測定の有無に関わらず大腿骨頸部骨折のハイリスク群スクリーニングは可能であることが示された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2)
210-210, 2009
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