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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))

【シンポジウム2】
産婦人科 in Emergency
埼玉県における母体救命コントロール事業の現状と今後の展開


松村 英祥, 村山 敬彦, 斉藤 正博, 高木 健次郎, 馬場 一憲, 関 博之
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門


 現在日本の周産期医療体制の整備は地域により,様々の施策を講じる努力がなされているが,多くの問題が未解決のままのこっている.
 埼玉県は人口約700万人,年間出生数は約6万人前後であり分娩1,000例に対する産婦人科医師数が日本で最も少ない医療過疎の地域といっても過言ではない.
 埼玉県の行政も,この危機的状況に対し埼玉県唯一の総合周産期母子医療センターである当科に搬送システムの構築を依頼してきたが,短期的な改善策として,母体の生命が危機的な症例に限り必ず対応する「母体救命コントロールセンター(以下母体救命C)」の構築が,現状で最も効率的かつ実現可能な施策と結論し,2008年12月24日より本事業を開始した.
 母体救命Cの業務は,母体の生命に危険が及ぶ症例に限り当院ですべて受け入れるか,困難な場合は搬送先を必ず探すというものである.当センターは2000年に開院以来,母体の生命が危険な症例の搬送依頼はNICUの空床の有無にかかわらず全例受け入れている.今回当センターで受け入れた母体緊急症例及び母体救命C事業を開始した後の実績を通して,昨今の母体救急搬送の体制に関してその実際と問題点について検討した.
【対象】2004〜2008年の5年間に当センターで受け入れた母体緊急症例及び母体救命C事業を開始後の症例を対象とした.母体緊急症例として,常位胎盤早期剥離,重症妊娠高血圧症候群,静脈血栓塞栓症,脳血管障害,産褥出血と昨今問題となっている妊婦健診未受診妊婦を定義した.
【成績】常位胎盤早期剥離症例の総受入数は60例であった.新生児のNICU入院が必要であった症例は35例(58.3%)であった.重症妊娠高血圧症候群症例の総受入数は158例であった.新生児のNICU入院が必要であった症例は83例(52.5%)であった.静脈血栓塞栓症症例の総受入数は17例であった.新生児のNICU入院は必要としなかった.脳血管障害症例は,妊娠中の脳梗塞発症1例で,新生児のNICU入院を必要としなかった.産褥出血は101例であった.妊婦健診未受診妊婦は65症例で,NICU入院は16例(24.6%)必要であった.また医療費未払いは31例(47.7%)であった.当センター入院中の妊婦が他院へ母体搬送を余儀なくされた症例は27例であった.
【結論】母体緊急症例を受け入れた場合,新生児のNICU管理が高率で必要となる可能性があり,それに伴い他院への搬送を余儀なくされた入院症例も埼玉県内での受け入れは半数以下で,母体緊急を全例受け入れるためには,はじき出された妊婦の受け皿となる施設とそれを受け入れる体制を整備する必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3) 244-244, 2009


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