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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
産科のシステム化 「産婦人科診療ガイドライン産科編2008」に対する産婦人科医の意識調査
小代 裕子1), 高瀬 浩造1), 宮坂 尚幸2), 久保田 俊郎2)
東京医科歯科大学大学院医療政策学講座研究開発学分野1), 東京医科歯科大学周産・女性診療科2)
「産婦人科診療ガイドライン産科編2008」は,コンセンサスが得られた適正な標準的産科診断・治療法を示すものとして平成20年4月に完成されたガイドラインである.今回,臨床現場の産婦人科医師が,実際このガイドラインをどのように扱っているか,またどのような意識をもっているかについて調査を行った.■平成21年2月から5月の期間に,11都道府県341人の産婦人科医師を対象に匿名で17問の質問形式によるアンケート調査を行い,150人から有効回答をいただいた.その内訳は約73%が分娩を扱う医療機関に勤務する医師からの回答であったが,全体の約63%がこのガイドラインをじっくり読んでいる一方で,約11%の医師はまだ全く読んでいなかった.「本ガイドラインを参考にして,検査内容や分娩の取り扱い方法に何らかの変更を行ったか」,の問いに対しては約66%の医師が変更を行ったと答え,その内容では,「患者への説明内容の変更」が約40%,「初期検査項目の変更」が約19%と多かった.次に本ガイドラインでは,産科診療を行う上で必要な事柄をA,B,Cの3段階の推奨レベルで示しているが,「実際この推奨レベル分類をどの程度意識しているか」,の問いに対しては,Aは必ず行うが34%,A,Bは必ず行うが約28%である一方,推奨レベルをまったく意識していない,と答える医師は全体の約27%にのぼった.本発表では「医師の裁量権を制限すると思うか」,「産科医療の標準化への貢献度について」,「医療訴訟の減少につながると思うか」,といったその他の質問項目に対する調査結果に加えて,これらの統計分析結果について報告したい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
247-247, 2009
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