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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
優秀演題賞候補(その他) 子宮頸部筋腫核出術に対し,内腸骨動脈バルーンカテーテルによる血流遮断の検討
山本 恵理子, 須賀 新, 伊熊 慎一郎, 鈴木 敏史, 楠木 総司, 木村 美葵, 寺尾 泰久, 竹田 省
順天堂大学産婦人科
【緒言】子宮筋腫核出術はその大きさや部位によって難易度が変わる.特に頸部筋腫核出の際,大量出血をきたし,輸血を要する症例も少なくない.昨今,産科領域での癒着胎盤・前置胎盤合併妊娠など大量出血が術前に予測される症例に対する総腸骨動脈へのバルーンカテーテル留置・血流遮断の有用性が認められているが,婦人科疾患への適応はいまだ少ない.今回2007年から2009年に子宮頸部筋腫に対する腹式子宮筋腫核出術の際,内腸骨動脈バルーンカテーテルを使用した症例につき検討を行った.【対象】術前画像診断で,術中血流遮断が困難と思われた子宮頸部筋腫患者4症例を対象とした.【方法】手術同日に透視下にて両側大腿動脈より5.2Frシースを両側内腸骨動脈に留置し,開腹.術野展開後に0.5ml蒸留水を両側内腸骨動脈バルーンに注入し,血流遮断.その後子宮筋腫核手術を施行した.止血を確認後,遮断解除,閉腹後にカテーテルを抜去した.【結果】年齢は35.0(31-41)歳,主訴は腹部膨満感3例であった.術式は全例腹式子宮筋腫核出術を施行.平均手術時間149.5(110-175)分,平均出血量は210.0(100-720)g,平均検体重量は3325(200-10500)g,平均核出個数10.0(1-26)個,同種血輸血は必要としなかった.全例術後の合併症は認めなかった.【考察】子宮動脈本幹・内腸骨動脈の結紮やクリッピングによる血流遮断を行うことで術中出血量を抑えることが可能になるが,子宮頸部筋腫では術野の確保が困難で血流遮断が難しい.内腸骨動脈や総腸骨動脈の触知が不可能であると予測される子宮頸部筋腫へ対し,術前に内腸骨動脈バルーンカテーテルによる留置術,血流遮断は有用であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
251-251, 2009
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