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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
優秀演題賞候補(その他) 腹腔鏡下に一期的に治療し得た直腸脱合併直腸瘤手術の一例
中西 一歩1), 市川 雅男1), 明楽 重夫1), 竹下 俊行1), 鈴木 英之2)
日本医科大学産婦人科1), 日本医科大学外科2)
直腸脱は子宮脱などの骨盤臓器脱と時に合併し,一期的な手術が必要な時がある.今回我々は直腸脱を併発した直腸瘤に対し,同時に治療した症例を経験したので報告する.症例は72歳2回経産婦.臓器脱出感を主訴に来院.膀胱瘤・小腸瘤はなく,直腸瘤4度と診断した.既往に子宮脱にて腟式子宮全摘術と前後腟壁形成術を受けていた.手術待機期間中ペッサリーで整復をしていたが,経過中自宅にて約20cmに及ぶ直腸脱を発症.当院外科受診となる.ペッサリーを抜去し直腸脱を完納.一期的腹腔鏡手術を施行した.気腹法にて腹腔鏡開始.トロッカーは両側下腹部と下腹部正中に計3か所刺入.メッシュはモノフィラメントのポリプロピレンメッシュを使用した.まず岬角の高さで左右直腸間膜を切開し,直腸後腔を開放.尾側は恥骨直腸筋に至るまで十分に直腸を授動した.仙骨前面にメッシュを固定,頭側に牽引した直腸を取り囲むようにメッシュと縫合した.次いで腟管と直腸の間を肛門挙筋まで剥離,後壁メッシュを肛門挙筋および後腟壁に縫合固定した.さらに腟管前方を尿道膀胱移行部近傍まで剥離し,前壁メッシュを尿道膀胱移行部から前腟壁に固定した.後壁メッシュ頭側端は腹膜に,前壁メッシュ頭側端は十分に子宮腟部を頭側に挙上させた状態で岬角に固定した.手術時間は440分.出血量は380g.術後経過良好にて9日目に退院.現在術後9カ月を経過するが,骨盤臓器脱の再発は認めていない.以上より直腸脱を合併した直腸瘤に対して,仙骨腟固定術および直腸固定術を腹腔鏡下に併施することは,手術を低侵襲かつ一期的に行うことができ,有用な方法と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
251-251, 2009
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