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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))

【一般演題】
優秀演題賞候補(周産期)
前置癒着胎盤の超音波診断


大西 庸子, 内田 加奈子, 庄田 隆, 天野 完, 海野 信也
北里大学病院周産期センター


【目的】前置癒着胎盤の超音波診断精度を前方視的に検討.【方法】前置胎盤を超音波所見によりレベル分類した.レベル1は子宮筋層菲薄化,子宮膀胱壁間の豊富な血流,placental lacunae,sonolucent zoneの消失を認めず,癒着胎盤の可能性が低い場合である.子宮筋層菲薄化,子宮膀胱壁間の豊富な血流を認め,癒着胎盤の可能性が高い場合をレベル3,4つのうち一つを認め,癒着胎盤が否定できない場合をレベル2とし管理指針を作成した.このレベル分類を用いた管理により2007年1月〜2008年12月までの前置胎盤例から超音波診断精度を前方視的に検討した.【成績】レベル1は47例で,癒着胎盤は3例,6.4%であった.レベル2の5例中2例,40%が癒着胎盤でいずれもplacental lacunaeを認めた.癒着胎盤でなかった1例にplacental lacunaeを認めたが,他の2例に超音波所見はなく,MRIで子宮筋層菲薄化を認めるのみであった.レベル3は5例で,全例癒着胎盤であった.5例にplacental lacunaeを認め,4例にsonolucent zoneの消失を認めた.レベル分類による癒着胎盤の診断精度は感度70%,特異度94%,陽性的中率70%,陰性的中率94%であった.最も感度が高かった所見はplacental lacunaeで63%,子宮膀胱壁間の豊富な血流,sonolucent zoneの消失は特異度が100%であった.4つの所見を組み合わせても感度は向上しなかった.また,MRIでは超音波検査以上の所見を得ることは出来なかった.胎盤の付着部位が前壁か後壁かで診断精度に差はなかった.【結論】癒着胎盤の超音波診断には限界があるが,子宮筋層菲薄化,子宮膀胱壁間の豊富な血流,placental lacunaeは癒着胎盤の可能性を強く示唆する所見である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3) 254-254, 2009


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