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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
優秀演題賞候補(周産期) 胎児卵巣嚢腫に対する胎児治療の有効性に関する検討
左 勝則, 林 聡, 青木 宏明, 穴見 愛, 左合 治彦, 北川 道弘, 名取 道也
国立成育医療センター周産期診療部胎児診療科
【背景】胎児卵巣嚢腫は,出生前に卵巣嚢腫の捻転,出血,Mass Effectなどを引き起こし,患側の卵巣機能の廃絶を引き起こすことがあるため,胎児管理上注意が必要である.今回,当センターで経験した胎児卵巣嚢腫13例を後方視的に検討し,胎児卵巣嚢腫に対する胎児治療の有用性について検討した.【対象と方法】2002年3月から2009年5月末までに当センターに紹介となった胎児卵巣嚢腫症例13例を対象とした.当センターにおける胎児治療(穿刺)の適応は,1)嚢腫径が4cm以上のsimple cyst,2)超音波所見にてwanderingを認める,3)1週間に1cm以上の増大を認める,のいずれかの条件を満たすものとしている.【結果】平均診断時週数32.7±2.1週(mean±SD)であった.初診時の嚢腫径の平均は38.7±9.0mm(mean±SD)であった.胎児卵巣嚢腫13例中,2例は初診時すでにComplex cystを呈しており卵巣嚢腫茎捻転をきたしている所見であった.残る11例のうち,嚢腫最大径が4cm以上の症例は7例で,そのうち6例に対して穿刺を施行した.穿刺した6例はいずれも茎捻転などの合併症は発症しなかった.また4cm以上で穿刺しなかった1例は妊娠37週での紹介で,胎児治療前に前期破水から分娩に至った.児は生後に開腹術となり,病理組織検査より壊死組織を認め,分娩経過中に茎捻転をきたしたことが推測された.嚢腫径が4cm以下の症例4例はいずれも合併症を生ずることなく生後縮小し経過した.【考察】胎児卵巣嚢腫に対する胎児治療は茎捻転などの合併症を回避することができ有効であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
255-255, 2009
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