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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
優秀演題賞候補(周産期) てんかん合併妊娠61例の検討
永田 亮1), 奥田 美加1), 橋田 修1), 古野 敦子1), 尾堀 佐知子1), 北川 雅一1), 山口 瑞穂1), 田野島 美城1), 長瀬 寛美1), 斉藤 圭介1), 高橋 恒男1), 平原 史樹2)
横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター1), 横浜市立大学産婦人科2)
【目的】てんかん患者の妊娠に関しては抗てんかん薬による胎児への影響など様々な配慮が必要である.2007年,日本てんかん学会から妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドラインが発せられた.そこで,当センターで分娩したてんかん合併妊娠61例について検討した.■【方法】2000年1月より2009年5月までの9年5ヶ月間における当センターでの妊娠22週以降の分娩8201例のうち,てんかん合併妊娠54例61分娩について,妊娠前の投薬内容,発作の有無,分娩転帰,新生児所見について,診療録を用い後方視的に検討した.■【成績】妊娠前の抗てんかん薬の内容はフェノバルビタール18例,バルプロ酸14例,カルバマゼピン15例,ゾニサミド3例,フェニトイン3例,内服なし17例であった.うち複数内服例は9例あった.ガイドラインで望ましいとされている上限投与量を上回る例が6例でそのうち2008年以降は2例あり,1例は妊娠初期に減量した.また,避けるべきとされる組み合わせ例が6例あり,いずれも2007年以前であった.そのうち3例は妊娠初期に単剤に変更された.妊娠前に発作のコントロール不十分な例は1例で,妊娠中の発作は3例であった.また,そのうち2例は妊娠中にてんかん初発と診断された.分娩は帝王切開が8例(13%)あり,いずれも産科的適応によるものであった.新生児にバルプロ酸症候群を認めた例が1例あったが,他は先天奇形を認めなかった.■【結論】てんかんをもつ女性は自身の健康状態や抗てんかん薬の児への影響に不安を抱いているが,適切な管理下においては,一般女性に比べ大きなリスク上昇があるとは言えず,自己判断で必要な内服を拒薬することのないように妊娠前からの管理と情報提供が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
255-255, 2009
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