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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
胎児異常1 先天性横隔膜ヘルニアの重症度予測に関する考察
梅津 桃, 金 善惠, 峰岸 一宏, 宮越 敬, 田中 守, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部産婦人科
先天性横隔膜ヘルニア(CDH)の周産期管理においては,出生前の重症度予測が重要である.最近当院で周産期管理を行ったCDH3症例について,出生前の肝脱出の有無,Lung to head ratio(LHR),MRIによる推定肺容積と超音波による推定体重比(FLV/EFBW)および新生児経過を後方視的に比較検討した.■症例1は腸管のみ脱出し,両肺の描出が可能であった.妊娠36週時のLHRは2.7,FLV/EFBWは0.016であり,肺低形成の可能性は低いことが予想された.妊娠38週4日,帝王切開にて出生後,高頻度振動換気法(HFO)およびNO吸入療法にて呼吸管理,日齢2に根治術を施行し術後経過良好であった.■症例2は胃・腸管と肝左葉の一部が脱出,左肺の描出は困難であったが,右肺は確認できた.妊娠35週時のLHRは2.11,FLV/EFBWは0.017であり,肺低形成の可能性は低いことが予想された.妊娠38週5日に出生後,日齢2に根治術を施行し術後経過良好であった.■症例3は胃・腸管と大部分の肝左葉が脱出,右肺は心臓背側にわずかに描出されたが左肺は確認できなかった.妊娠34週時のLHRは0.79,FLV/EFBWは0.0087であり,重症肺低形成のためECMOを要する可能性が高いと予想された.妊娠38週4日に出生後,HFOおよびNO吸入療法にて呼吸管理を行い,日齢9に根治術を施行可能であった.■考察 当院での3症例のCDHでは,胎児MRIによる胎児肺容積の測定が新生児呼吸状態の予測に有用であった.一方,ECMOの使用が考えられた重度の肺低形成症例においてもHFOおよびNOの使用のみで根治術を行うことが可能であり,CDHの胎児肺低形成の指標は新生児管理の変遷に基づき再評価すべきものと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
257-257, 2009
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