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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
胎児異常2 P450 oxidoreductase欠損症同胞発症疑いの一例
鈴木 円香, 定方 久延, 瑞慶覧 美穂, 平石 光, 田村 友宏, 笠原 慶充, 勝俣 祐介, 峯岸 敬
群馬大学医学部附属病院産婦人科
P450 oxidoreductaseはマイクロゾームに存在するすべてのP450酵素群に電子伝達を行う酵素で,P450 oxidoreductase欠損症はこの酵素の機能異常により,先天性副腎不全,骨病変,生殖器病変などを引き起こす疾患であり,先天性副腎過形成に含まれる21-hydroxylase欠損症・リポイド過形成症・17α-hydroxylase欠損症・11β-hydroxylase欠損症などに比べ非常に稀である.今回私たちは,前児がP450 oxidoreductase欠損症の母親から,同疾患疑いの児が出生した一例を経験したため報告する.【症例】27歳 1経妊1経産.(第1子正常経腟分娩.40週2594g男児.先天性代謝異常スクリーニング検査により17-OHP高値指摘され精査.P450 oxidoreductase欠損症と診断され当院小児科にてグルココルチコイド補充治療中).既往歴に特記事項なし.当院にて妊娠初期より経過観察をしていた.胎児エコーでは積極的に奇形が疑われる所見は指摘できなかった.骨盤位であったため38週1日に選択的帝王切開術施行.2638g男児,Apgar Score 8-9-10で出生.出生時より,両耳介形成不全・眼球突出・左停留精巣・小陰茎・クモ状指を認めた.児は出生後軽度の哺乳不良を認めたものの全身状態良好で術後8日目に母親と共に退院となった.先天性代謝異常スクリーニング検査により17-OHP高値指摘.小児科にて精査されP450 oxidoreductase欠損症の診断となりグルココルチコイド補充治療が開始された.【結語】P450 oxidoreductase欠損症では出生直後に気道管理を必要とする症例もあり,同胞に同疾患の児がいる場合には特に,胎児エコー等によりできる限り胎内診断をしておくことが望ましいと思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
258-258, 2009
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