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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
胎児異常3 家族内発生を認めた先天性側脳室拡大の1家系
若松 昌巨1), 田丸 俊輔1), 小野 恭子1), 堀越 嗣博1), 高木 紀美代1), 宮下 進2), 菊池 昭彦1)
長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科1), 長野県立こども病院総合周産期母子医療センター新生児科2)
【緒言】胎児側脳室拡大は,出生後に片麻痺・精神発達遅滞・てんかんなどを引き起こすことがあり,その原因には脳血管異常や出血,代謝性疾患などがある.今回我々は,家族内発生を認めた先天性側脳室拡大の1家系を経験したので報告する.【症例1】妊娠30週5日の胎児.妊娠27週2日より胎児側脳室拡大を指摘され,超音波検査とMRIで上衣下出血が疑われた.母体血液検査所見に異常なし.38週2日severe variable decelerationが頻発し,緊急帝王切開分娩.出生体重2892gの女児でApsは8-9,UApH7.28.日齢30日の現時点では明らかな神経症状なし.【症例2】6歳女児.症例1の姉.37週2300gで正常経腟分娩.生後6ヶ月で左片麻痺に気付かれ精査.MRIで右優位の側脳室拡大と白質の萎縮あり,先天性の異常と診断.【症例3】6歳男児.症例1および2のいとこ.妊娠29週時に胎児側脳室拡大,IUGRを指摘され,超音波MRIで左側脳室拡大を認めた.母体妊娠高血圧腎症のため妊娠32週0日に帝王切開分娩.出生後のMRIで右側頭葉に裂脳様所見およびヘモジデリン沈着による低信号を認め,先天性の脳出血が考えられた.【まとめ】今回我々は胎児期の脳内出血などのエピソードが原因と考えられる先天性側脳室拡大の家族内発生を経験した.症例1の当科受診により家族内発生が判明し,今後遺伝性疾患や代謝性疾患も含め原因精査を行う予定である.本例のように胎児側脳室拡大には家族内発生の症例があることを踏まえて精査する必要があり,本学会では抄録以降の経過と精査結果を報告予定である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
262-262, 2009
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