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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))

【一般演題】
胎児異常3
出生直後より重度運動機能障害を認めた軽度脳質拡大の1例


三原 賢子, 牧野 真太郎, 佐々木 薫, 今井 幸, 斉藤 知美, 太田 篤之, 田中 利隆, 杉村 基, 竹田 省
順天堂大学産婦人科


【緒言】産科訴訟における脳性麻痺にまつわる裁判では,その金額の大きさや医療側の敗訴率の高さから産科医に大きな負担を強いている.しかし,児の発達障害は分娩時の低酸素障害のみならず胎内でもその原因が存在することも少なくない.今回,我々は妊娠中に軽度脳質拡大を指摘され,妊娠40週にNRFSのため緊急帝切で出生し,直後より重度運動障害を認めた1例を経験したので報告する.【症例】26歳,0経妊0経産.妊娠初期より他院で管理を受けていたが,妊娠29週に軽度脳室拡大を指摘され胎児MRI検査後に当院に紹介となった.初診時の超音波検査では脳室拡大は認めなかったものの,左側脳室周囲の輝度が高く,嚢胞状の所見も認めることより,以前に出血した可能性も否定できなかった.その後脳室拡大は認めなかったが,妊娠40週3日に破水感で来院し,NSTで遅発一過性除脈を認め緊急帝切にて分娩となった.児は2612g,男児,Ap7/8で,呻吟,低酸素血症(SpO2 80%),眼球上転・縮瞳を認め小児科管理となった.小児科入院時の頭部超音波検査でも明らかな脳室拡大は認めず,日齢5の頭部MRI検査で左脳室周囲の白質に軽度の異常を認めるのみであった.日齢5の時点でも運動機能障害に改善傾向は見られず,脳性麻痺に発展する可能性も否定できない.【考察】今回の症例では妊娠中に脳室拡大を指摘されたため,本人・家族に出生後の管理についてもinformed consentを行っていた.児の中枢神経異常の発症時期が胎内か分娩時かを鑑別することは重要であるため,胎児に脳室拡大や出血を疑わせる所見が認められた場合には,MRI検査を含めた精査に加え,十分なinformed consentを行うことが重要であると思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3) 262-262, 2009


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