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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))

【一般演題】
産科救急疾患
HELLP症候群にて帝王切開後に溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発した一例


中村 麗子, 村瀬 真理子, 葉山 智工, 丸山 康世, 野村 可之, 井畑 穣, 杉浦 賢, 榊原 秀也, 平原 史樹
横浜市立大学産婦人科


溶血性尿毒症症候群(HUS)は,E.Coliの産生するベロ毒素などが原因となり,微小血管障害(溶血性貧血),血小板減少,急性腎不全を特徴とする疾患で,主病変は腎臓に生じる.4歳以下の乳幼児に好発する稀な疾患であるが,今回我々はHELLP症候群にHUSを併発し,血液透析(HD)で改善を認めた症例を経験したので報告する.■症例は41歳,3経妊2経産.妊娠初期より近医で健診を受けていた.妊娠33週4日子宮内胎児発育遅延(IUGR)を認め,妊娠35週2日血圧208/127mmHg,尿蛋白3+,血尿,持続的な腹痛が出現したため,当院へ母体搬送された.来院時検査所見では推定児体重1612g,羊水ポケット13mm,遅発一過性徐脈を認めた.血液検査はAST693U/l,ALT446U/l,LDH1969U/l,I-BIL1.5mg/dl,PLT13.3万μl,Cr0.86mg/dlであった.以上より妊娠高血圧腎症,HELLP症候群,IUGR,胎児機能不全の診断で,同日緊急帝王切開術施行し,アプガースコア9(1分)/9(5分),UApH7.213の女児1624gを娩出した.術後産科DICを呈し,DIC治療を開始した.術後1日目血小板2.3万μlまで減少し,血清Cr,Kの上昇も認め対症療法を行ったが,腎機能は増悪し,術後2日目には肺水腫,腹水も出現した.破砕赤血球,ハプトグロブリン低下を認めHUSによる急性腎不全と診断した.術後3日目肝機能は改善したが,Cr5.24mg/dlまで上昇しHDを連日3日間施行した.以降腎機能は徐々に改善し術後19日目母児共に退院となった.■HELLP症候群は高血圧,腎機能,肝機能などの全身管理が重要な疾患であるが,児娩出後は早急に病態改善する.しかし本症例のように児娩出後に急激に腎機能の増悪を認め,HUSとなり治療に苦慮する症例もあり,注意を要すると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3) 266-266, 2009


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