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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))

【一般演題】
早産
臍帯膜付着の血管の破綻と出血の広がり


有澤 正義
東京都立大塚病院産婦人科


【目的】臍帯膜付着の頻度は1.3-1.6%と報告されている.臍帯付着部での出血は母児共に重大な問題であり胎内死亡例が報告されている.今回,私は2年6カ月の胎盤病理検査業務で診断した臍帯膜付着について,頻度,問題点について検討する.■【対象】検査目的で提出された単胎400例の胎盤のうち26例の臍帯膜付着が認められた胎盤である.同期間の分娩数は約2200例である.これらの胎盤の膜付着の病理像と合併症を検討する.■【結果】頻度は6.5%であった.検査した中に臍帯血管の膜内走行の血管の破綻は1例もなかった.出血源は卵膜付着部位の脱落膜内の血管の破綻であった.出血の周囲には脱落膜の壊死を認めた.出血は限局するものが多いが,出血が胎盤外の膜に広がるもの,胎盤の絨毛膜下,あるいは脱落膜下に広がり常位胎盤早期剥離に至る例があった.切迫早産で妊娠中期から入院管理して,正期産で分娩となった例にも臍帯の膜付着の合併例が認められた.これらの症例は,絨毛膜羊膜炎の合併はなかった.■【考察】頻度は,6.5%と高率である.提出された胎盤の母集団が異常分娩のためと考える.全分娩数から考えると,1.2%となり,他施設と変わりがない.臍帯膜付着の問題点は出血である.臍帯血管の出血は,胎児の死に直接つながる.私が当院で検査した胎盤に臍帯血管の断裂による出血は認められなかったが,辺縁部の出血,脱落膜の出血は多数認められた.さらに,切迫早産で管理されている例にも臍帯膜付着が多数含まれている.このような例は胎盤の病理検査が行われないと真の臍帯膜付着の頻度もわからないし,切迫早産の正しい管理も難しい.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3) 271-271, 2009


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