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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
妊娠分娩合併症1 糖尿病合併妊婦の未熟絨毛,異形絨毛と虚血性変化
有澤 正義, 宮澤 豊
東京都立大塚病院産婦人科
【目的】妊娠中の糖尿病は2つのカテゴリーに分類されている.1つは妊娠前から糖尿病を合併している.1つは妊娠中に糖尿病を発症する妊娠糖尿病である.いずれの糖尿病も妊娠中だけでなく妊娠前から血糖のコントロール良好であることが,児にとって重要である.糖尿病合併妊婦胎盤を病理学的に検索しどのような絨毛異常を認めるかを検討する.【対象】9例の糖尿病合併妊婦の胎盤.未熟絨毛とは,週数に比し絨毛が大型であるものあるいはvasculosyncytial membranesの形成の悪いものとした.異形絨毛とは絨毛が未熟であるだけでなく,絨毛のかたちが奇異で,絨毛内の血管の数に異常があるものとした.絨毛の虚血性変化とは,絨毛が週数に比し成熟しているもの,絨毛周囲にfibrinの沈着が増加しているもの,syncytial knotsの増加しているものを定義した.【結果】9例の妊娠中の糖尿病の管理はいずれも,高血糖,高HbA1cでpoor controlであった.胎盤の病理学的所見としては,6例の異形絨毛,2例の未熟絨毛,1例の絨毛の虚血性変化が認められた.絨毛の虚血性変化を認めたものは,胎盤床に血栓を認めた.【考察】妊娠前のきびしい糖尿病コントロールが胎盤の異常所見を減らすということは以前に報告した.妊娠前のHbA1cのコントロールで児の奇形の合併率が減少するということもしられた事実である.今回のコントロール不良の胎盤は異形絨毛や未熟絨毛の合併率が高く1例の絨毛の虚血性変化は母体の血管病変の合併も推測された.今回は,われわれはコントロール不良の胎盤異常を通常のHE染色だけでなく,免疫染色を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
273-273, 2009
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