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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
子宮頸部腫瘍1 比較的高齢者に発症した子宮頸部絨毛腺管状腺癌の1例
石田 洋一, 高橋 佳容子, 大和田 倫孝, 若佐谷 敦, 厚木 右介, 山田 哲夫, 佐藤 郁夫
国際医療福祉大学病院産婦人科
【はじめに】子宮頸部絨毛腺管状腺癌は絨毛腺管構造と外向性発育を特徴とする腫瘍であり,大半が内頸部型腺癌の像を呈し,全体に高度ないし中等度に分化した細胞からなる.稀な腫瘍で,好発年齢は40歳代といわれており,予後は他の組織型の頸部腺癌より良好との報告が多い.今回我々は,68歳と比較的高齢者に発症した子宮頸部絨毛腺管状腺癌の1例を経験したので報告する.【症例】68歳,3経産の主婦である.2009年4月に褐色帯下を主訴に当院を受診した.腟鏡診では子宮頸部に乳頭状増殖を示す易出血性病変が見られたが,腟壁には明らかな浸潤は認められなかった.腫瘍マーカーは,CA125:8.6 U/ml,CA19-9:17.2 U/ml,SCC:0.9 ng/mlといずれも正常範囲内であった.MRIでは子宮頸部に限局したT2強調画像で高信号を示す約2cm大の腫瘤が認められた.一方,CTではリンパ節転移および遠隔転移などを疑わせる所見は認められなかった.子宮頸部組織診では漿液性腺癌が疑われた.以上の検査所見より子宮頸癌1b1期と診断し,2009年5月に単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,骨盤リンパ節郭清術が施行された.摘出子宮では,SC junctionの部分に2.5×1.2×1cm大の腫瘍が局在した.組織学的に腺管状および絨毛状に浸潤増殖する腺癌が見られたため,絨毛腺管状腺癌と診断した.脈管侵襲およびリンパ節転移は見られなかった(pT1b1N0M0).術後にネダプラチンと塩酸イリノテカン併用化学療法を行っている.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
275-275, 2009
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