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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
子宮頸部腫瘍2 Planned treatment delayにより生児を得た子宮頸部浸潤癌合併妊娠の一例
鶴賀 哲史, 有本 貴英, 冨尾 賢介, 川名 敬, 中川 俊介, 大須賀 穣, 矢野 哲, 上妻 志郎, 武谷 雄二
東京大学医学部附属病院産婦人科
【緒言】子宮頸癌は妊娠に合併する悪性腫瘍として最も頻度が高いが,浸潤癌の場合には明確な管理指針は提唱されていない.妊娠25週で子宮頸癌Ib1期と診断し,児の成熟のために3週間の待機期間をとって,手術を行った症例を報告する.【症例】22歳2経妊1経産.不正性器出血を主訴に近医を受診し妊娠が判明,最終月経が不明であったため超音波検査による児頭大横径から妊娠週数を19週とした.妊婦健診のスクリーニング検査で行った子宮腟部細胞診でクラス3,その後の組織診で扁平上皮癌と診断され,妊娠25週で当科を紹介受診となった.子宮頸部に限局した3cm大の病変を認め子宮頸癌Ib1期と診断した.患者および家族,NICUの医師と協議の上,3週間の待機期間(planned treatment delay)をとって,妊娠28週に手術を行う方針となった.超音波検査で児発育が妊娠週数相当であることを確認して,手術4日前と3日前に児の肺成熟を促すために母体にベタメタゾンを投与した.妊娠28週1日に腹式古典的帝王切開術と広汎子宮全摘術を行った.術中出血は3350ml(羊水込み)で自己血輸血を行った.排尿障害等の術後合併症はなく,術後11日目に退院となった.病理組織診断はpT1b1N0M0で術後補助療法は行わなかった.児は,出生時体重が1085g,アプガースコアが7点(1分後)9点(5分後)で,NICU入院後に一時的に気管内挿管を要したものの経過は良好であった.【結語】子宮頸癌合併妊娠の治療成績について有力なエビデンスはなく,児発育の正確な評価,子宮頸癌の進行期,妊娠継続の希望の有無を個別に検討して治療方針を決定する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
278-278, 2009
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