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 第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
 
 【一般演題】
 子宮外妊娠
 診断および治療に苦慮したIVF-ETによる子宮外妊娠の一例
 
 林 優, 中村 絵里, 杉山 太朗, 呉屋 憲一, 鈴木 隆弘, 和泉 俊一郎, 石本 人士, 三上 幹男
 東海大学医学部専門診療学系産婦人科
 
 
 45歳,0経妊0経産,不妊期間6年6ヶ月.子宮内膜症性不妊の診断で腹腔鏡下手術の既往歴がある.術後は体外受精胚移植を繰り返していた.今回,他院にて自然周期で採卵後,2日目に良好胚1個(5cell)を移植して妊娠が成立.6週4日まで経過をみるも子宮内に胎嚢を認めず,子宮内容除去術でも絨毛を認めなかったため,子宮外妊娠の疑いで6週5日に当院紹介初診となった.来院時の血中hCG値:2574.5mIU/ml,クラミジアIgA/IgG抗体:陰性.経腟超音波所見では両側卵巣チョコレート嚢胞(最大径5cm大,多房性),子宮筋腫(4cm大)を認めたが,着床部位の同定は困難であった.血中hCG値が上昇傾向にあったため,7週1日にMRI検査を施行したところ左卵管妊娠が疑われた.同日,確定診断および治療のために腹腔鏡下手術を施行した.しかしながら骨盤内癒着が著明で子宮底部と右卵管の一部が確認できるほかは腸管と強固に癒着していたため,着床部位の同定ができなかった.癒着剥離は不可能と判断し,手術を終了した.インフォームドコンセントを得て,MTX50mg筋注の全身投与を選択し,計3回行った.以後,血中hCG値は徐々に低下し,3ヵ月後に陰性化した.経過中に増大傾向にあった血腫像も消失した.IVF-ET症例の中には著明な骨盤内癒着例もあり,このような症例で子宮外妊娠を疑われた場合には着床部位の確定診断に至らず,治療に苦慮する場合がある.
 
 
 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
		279-279, 2009
 
 
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