|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
MTXによる治療 メソトレキセート投与中にStevens-Johnson症候群を呈した転移性・侵入奇胎の一例
粒来 拓1), 佐藤 美紀子1), 奈良 亜貴子2), 今井 一章1), 青木 茂1), 武居 麻紀1), 安藤 紀子1), 高安 義弘1), 茂田 博行1)
横浜市立市民病院産婦人科1), 横浜市立大学附属病院産婦人科2)
メソトレキセート(MTX)は絨毛性疾患において最も汎用されている抗癌剤である.MTX投与中にStevens-Johnson症候群を呈した転移性・侵入奇胎の一例を経験したので報告する.症例は28歳.2経妊2経産.妊娠8週で大量の性器出血と腹満感が出現したが医療機関を受診せず妊娠13週5日当院初診.尿中hCG310万mIU/ml.画像検査で子宮内腔に充満する多嚢胞性腫瘤と肺転移を認めたため,転移性奇胎を疑った.腹式単純子宮全摘術施行.摘出子宮の組織検査では全胞状奇胎の筋層浸潤を認め,絨毛癌診断スコアで転移性奇胎,WHO scoreではintermediate riskであったため転移性・侵入奇胎と診断した.追加化学療法としてMTX単剤(20mg/body/day)5日間投与・休薬7−12日間を施行.治療開始直後よりGrade1の口内炎を認めたが対症療法で経過観察可能であった.MTX3コース投与後,口内炎の増悪を訴えたがMTXによる有害事象として対応した.しかし翌日より口腔粘膜潰瘍の増悪と咽頭への進展に加え38度台の発熱,頚部皮膚のびまん性紅斑が出現しStevens-Johnson症候群と診断した.ステロイドパルス療法を施行し軽快.その後アクチノマイシンD単剤による二次化学療法を開始しhCGは陰性化した.MTX投与時の口内炎はしばしば経験するものであるが,重症である場合Stevens-Johnson症候群に見られる口内炎との鑑別は困難であり慎重な対応が求められる..
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
282-282, 2009
|