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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
MTXによる治療 経腟超音波およびMRI画像より子宮角部妊娠を疑いMTX療法が奏功した一例
米澤 美令, 深見 武彦, 野口 唯, 島田 博美, 佐藤 杏月, 奥田 直貴, 立山 尚子, 西田 直子, 松島 隆, 土居 大祐, 可世木 久幸, 朝倉 啓文
日本医科大学武蔵小杉病院女性診療科・産科
子宮角部妊娠(以下角部妊娠)は妊卵が子宮角部に着床し,当該部位で限局性に発育するものである.本妊娠では正常妊娠経過をたどる可能性もある一方で,流産,子宮破裂,胎盤遺残など時に重篤な産科異常を来すことがある.今回我々は経腟超音波およびMRI画像より角部妊娠を疑い,MTX投与により良好な経過を辿った一例を経験したので,文献的考察も含めて報告する.症例は28歳,1回経妊0回経産.他院にて最終月経より6週で妊娠の診断となるがGSは確認できなかった.同8週にてもGSを同定できず尿中hCG半定量にて1000IU/l陽性,性器出血もあり子宮外妊娠を疑われ当科紹介となった.初診時経腟超音波にて肥厚した子宮内膜とともに子宮底部左側に3mmのGS様エコー像が認められ,血中hCG値は7,887mIU/mlであった.翌日子宮内容除去術を施行したが肉眼的に絨毛を確認できなかった.術直後もGS様エコー像は同部位に確認でき,術後翌日の血中hCG値も低下しなかった(8,325mIU/ml).術後2日目の経腟超音波による子宮横断像では左子宮角付近の腫大が見られ,同部位にGS様エコー像を認めた.またこのGS様エコー像周囲の筋層に菲薄化は見られなかった.同日に施行したMRIでは,T2強調画像にて左子宮角部に内膜とは異なる高信号領域が描出され,そこに絨毛の存在が示唆された.角部妊娠を想定し,術後3日目(血中hCG値11,918mIU/ml)よりMTXを投与(50mg/m2)した.その後hCG値は順調に低下し,投与後16日目には血中hCG値は13mIU/mlとなり,超音波画像上も左子宮角部分は正常となっていた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
283-283, 2009
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