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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
中高年女性の医療 救命し得た高齢女性の子宮膿瘍を伴った汎発性腹膜炎の2例
中村 優子, 沖 明典, 関坂 みゆき, 田中 勝洋, 岩城 真奈美, 田坂 暢崇, 小貫 麻美子, 岡田 智志, 水口 剛雄, 松本 光司, 佐藤 豊実, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
高齢女性では閉経後の頚管狭窄による子宮留水症や子宮留膿症がしばしば経験することがあるが,子宮癌の合併に注意を要するが無症状のことも多い.今回我々は,子宮膿瘍の穿孔に起因した汎発性腹膜炎を2例経験したので報告する.■【症例1】80歳,2経産.嘔気,腹痛にて近医受診.CTで子宮留膿症,free airを認めたため,当院へ救急搬送となった.体温37.3度,血圧112/68mmHg,脈拍105/分.子宮に一致した圧痛および筋性防御を認めた.白血球21500/μl,CRP 27.96mg/dl.子宮穿孔による汎発性腹膜炎の診断で同日緊急手術施行.子宮は2ケ所穿孔を認め,腹腔内には多量の膿が貯留しており,単純子宮全摘術及び両側付属器切除術,腹腔内洗浄を行った.術後経過順調で,9日目に退院.■【症例2】83歳,2経産.1週間持続する発熱,下腹痛にて近医受診.子宮留膿症,骨盤腹膜炎が疑われ,当院へ救急搬送となった.体温38.6度,血圧118/62mmHg,脈拍95/分.腹部の圧痛,反跳痛,筋性防御を認めた.白血球24000/μl,CRP 11.37mg/dl.子宮腔と交通のない子宮後壁に膿瘍を認め,保存治療に反応しないため翌日緊急手術施行した.子宮後壁に膿瘍形成,穿孔を認め,単純子宮全摘術及び両側付属器切除術,腹腔内洗浄を行った.術後経過は概ね順調に退院した.両例共に近年の検診受診歴はなかったが,悪性腫瘍は認めなかった.■高齢者の子宮留膿症は,増悪して急性腹症をきたした場合,速やかに汎発性腹膜炎に進行することがあり,注意を要することが再認識された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
285-285, 2009
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