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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
良性卵巣腫瘍 卵管采に発生した異所性卵巣内膜症性嚢胞により卵管捻転を来たし腹腔鏡下に治療し得た一例
木林 潤一郎, 石川 哲也, 市原 三義, 森岡 幹, 奥田 剛, 長塚 正晃, 岡井 崇
昭和大学病院産婦人科
異所性卵巣とは,正常卵巣とは異なった場所に発生した卵巣をさし,副卵巣と多卵巣に分類される.副卵巣は正常卵巣に直接あるいは靭帯を介して近くに存在しており,多卵巣は正常卵巣と靭帯を介したつながりを持たずに離れて存在しているものと定義されている.異所性卵巣の報告は少なく,卵巣嚢腫を形成したものはまれである.今回我々は,卵管采に発生した異所性卵巣内膜症性嚢胞により卵管捻転を来たし腹腔鏡下に治療し得た一例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は32才,1経妊1経産.妊娠初期に左付属器に10cm大の内膜症性嚢胞を認めていた.妊娠中は経過観察としており,分娩時には4cm大に縮小していた.分娩より1年が経過し,加療希望により受診となった.腹部MRIでは仙骨前面部に腫瘤があり,内部はT2WIで低信号,T1WIで高信号であり,血性,もしくは粘稠度の高い内容物であり,内膜症性嚢胞と考えられた.血液検査では,CA125:19.9(<35U/ml)であった.術前診断を左卵巣内膜症性嚢胞とし,腹腔鏡下手術の方針として入院となった.嚢胞は左卵管采から発生しており,360度の卵管捻転をきたしていた.腫瘤周囲に軽度の癒着を認め,腹腔鏡下に癒着を剥離し,腫瘤摘出術を施行した.左卵巣は通常と比べ小さかったが,左右共に正常部位に確認できた.術後病理検査にて,内膜症性嚢胞であることに加え,壁には原始卵胞は見られなかったが,卵巣間質細胞様の細紡錘形核を有する細胞の集積巣が見られ卵巣組織であることが考えられた.これらから,多卵巣および異所性卵巣由来の内膜症性嚢胞と診断した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
287-287, 2009
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