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 第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
 
 【一般演題】
 良性卵巣腫瘍
 傍腫瘍性辺縁系脳炎を発症した胚細胞腫瘍の2症例
 
 牛久 妙, 矢崎 淳, 小暮 佳代子, 池田 禎智, 村田 知美, 青木 宏, 中村 和人, 峯岸 敬
 群馬大学医学部附属病院産科婦人科
 
 
 [緒言]傍腫瘍性辺縁系脳炎は腫瘍に合併し,亜急性経過の精神症状,痙攣,意識障害を呈する.今回我々は傍腫瘍性辺縁系脳炎を発症した胚細胞腫瘍の2症例を経験した為報告する.[症例1]19歳,1経妊1経産.奇声,疎通不能等を主訴に近医精神科受診.発熱,意識低下,項部硬直出現し,脳炎疑いで当院紹介.ステロイドパルス療法2クール施行したが症状増悪.髄液検査,頭部CT/MRIにて診断に至らず.全身検索CTにて2cm大の左卵巣腫瘍あり傍腫瘍性辺縁系脳炎疑われ,症状改善目的に左付属器切除術施行.病理診断はMature teratomaであった.術後意識状態徐々に改善,術後約2か月半で退院となった.抗NMDA受容体抗体が陽性であった.[症例2]13歳,未妊.記憶障害,幻覚妄想等を認め近医受診.精神状態悪化し当院紹介.急速な症状進行から辺縁系脳炎疑われ,卵巣精査目的に当科紹介,エコー上左卵巣15cm大に腫大認め,MRIにて胚細胞腫瘍疑われた.症状改善目的に術前ステロイドパルス療法2クール施行するも症状変化なし.左付属器切除術施行,病理診断はmixed germ cell tumorであった.術後精神症状徐々に改善し,今後の化学療法を検討中.抗NMDA受容体抗体は提出中である.[考察]抗NMDA受容体抗体陽性脳症は2007年Dalmauらによって提唱された,卵巣奇形腫に随伴する傍腫瘍性脳炎である.髄液所見で非特異的炎症性変化を認め,CT,MRIで所見に乏しいのが特徴であり,腫瘍早期切除が重要とされる.精神症状,神経症状を伴う卵巣腫瘍においては本症を疑う必要があると考えられる.
 
 
 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
		289-289, 2009
 
 
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