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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
子宮体部腫瘍1 肺転移を伴う子宮体癌に対し黄体ホルモン療法が有効であった1例
齋藤 史佳, 橋本 和法, 上田 英梨子, 由井 瞳子, 野村 秀高, 吉形 玲美, 石谷 健, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
子宮体癌の再発・転移例に対する治療は,ガイドライン上ではプラチナ製剤を中心とした多剤併用療法が推奨されているが,根治・緩解は至難であり,一方黄体ホルモン療法に関する効果のエビデンスは乏しい.今回我々は治療抵抗性の子宮体癌肺転移例に対し,酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)療法が奏功した症例を経験したので報告する.症例は60歳.1妊0産.前医にて多発性肺腫瘍の診断でCTガイド下肺生検ならびに子宮内膜組織生検を施行し,病理組織像および免疫染色の結果より,子宮体癌の肺転移と診断された.加療目的に当科紹介となりCTで両肺野のほぼ全域に5mmから20mmの結節性陰影が多数認められた.子宮体癌肺転移の診断で術前にTC療法を3サイクル施行した後,腹式子宮全摘術及び両側付属器摘出術を施行した.摘出子宮の病理診断はEndometrioid adenocarcinoma with squamous differentiation,Grade 1であった.術後もTC療法を施行し,6サイクル終了後の胸部造影CTでは転移巣の拡大・縮小は認めなかった.その後もTC療法を継続していたが,12サイクル後に施行したCTでは肺転移巣の増大を認めたため,TC療法を終了とし,MPA療法(600 mg/日)を開始した.MPA療法7カ月後のPET/CTでは,肺転移巣のFDG集積は治療前に比較して有意に低下し,転移巣の数およびサイズの縮小に加え,一部消失も認められた.現在MPA療法開始後1年4ヵ月経過しているが,転移巣の進展や副作用は認めず,外来にて経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
290-290, 2009
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