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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
子宮体部腫瘍1 子宮筋層内に嚢胞を形成した乳頭嚢胞腺癌の1例
塙 真輔, 松井 英雄, 上杉 健哲, 田中 圭, 小幡 新太郎, 杉田 達哉, 山本 憲子, 西方 紀子
成田赤十字病院産婦人科
今回,我々は子宮筋層内に発生した乳頭嚢胞腺癌を経験したので報告する.【症例】患者は年齢54歳,0回経妊0回経産.近医にて顔面紅潮,ほてりの精査加療目的で当科に紹介された.診察時,右付属器領域に超鵞卵大の腫瘍を認めた.経膣超音波では明らかな腹水は無く,7cm大の筋腫と60mm×70mmの充実性成分を伴う嚢胞性病変を認めた.MRIでも漿膜下筋腫と多房性嚢胞性病変が認められ,腫瘍マーカーはCA125:736,CA72-4:5.8,CA19-9:1.0以下とCA125とCA72-4の上昇を認めた.以上の所見より卵巣癌を疑いATH+BSOの方針となった.開腹所見は子宮は腫大しており漿膜下筋腫を認めた.左右卵巣は正常大であり明らかな嚢胞性病変を認めなかった.腹水洗浄細胞診は陰性であった.摘出した子宮の後壁筋層内に粘液を含む5cm大の嚢胞が形成され,内腔には乳頭状の結節を認めた【病理所見】乳頭状結節は子宮内膜,卵管,卵巣との連続性は認めなかった.組織学的にはやや核の腫大,大小不同を示す異型上皮が乳頭状に増殖していた.嚢胞周囲に腺筋症があり,嚢胞内面の一部に内膜に類似した上皮も認め,免疫組織化学染色においてエストロゲンレセプター陽性,プロゲステロンレセプター境界域であった.以上より子宮腺筋症を発生母地とした類内膜腺癌と推測された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
290-290, 2009
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