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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
子宮体部腫瘍1 Placental site trophoblastic tumor(PSTT)と診断に苦慮した子宮体部未分化癌の一例
梶山 明日香, 寺本 勝寛, 白石 眞貴, 林 忠佑, 河野 恵子, 池上 淳, 永田 育子, 内田 雄三, 伊東 敬之, 永井 聖一郎
山梨県立中央病院産婦人科
【緒言】未分化癌は子宮体癌の中で比較的稀な組織型である.子宮体癌取扱い規約では「いかなる組織型にも合致しない未分化な癌腫」と定義される.今回,PSTTが疑われた子宮体部未分化癌の一例を経験したので文献的考察を加え報告する.【症例】43歳 2経妊2経産 閉経41歳既往歴:甲状腺乳頭癌 子宮筋腫現病歴:前医で頸部細胞診classIV,腺系細胞の異常を認め,子宮内膜癌を疑い内膜組織診施行するも異常を認めず,半年後の内膜細胞診で陽性,組織診でcarcinoma(分化が低くadenocarinomaやSCCの組織型の診断は困難)を認めたため精査加療目的に当院紹介となった.当院の細胞診では,類円形の細胞が集塊をなし,一部,核形不整や大小不同が顕著である一方,異型性の弱い良性の細胞も連続性に混在していた.核は腫大し核小体は明瞭で,細胞質は泡沫状を呈しており,decidual cellやtrophoblast cellを疑った.子宮内膜組織診でも極微量のtrophoblastに類似した所見がみられた.絨毛性疾患の疑いで単純子宮全摘術を施行され,病理検査の結果,特殊染色では上皮性マーカーAE1/AE3がびまん性に陽性,hCGは一部陽性でありMIB-1とhPLは陽性であったため,未分化癌,StageIc期と診断した.mTC療法6クール施行後,両側付属器摘出術,骨盤リンパ節郭清術を行った.その後,追加治療は行っていないが再燃は認めず,腫瘍マーカーも上昇はなく外来経過観察中である.【考察】未分化癌は稀な組織型であり予後不良とされ,多彩な細胞・組織像を示すことを念頭に置き診断することが重要と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
291-291, 2009
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