|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
子宮筋腫合併妊娠 後期流産後に難治性の発熱が長期間持続した子宮筋腫合併妊娠の1例
渡辺 建一郎1), 川端 伊久乃1), 三宅 秀彦1), 中井 晶子1), 林 昌子1), 大屋 敦子1), 中井 章人1), 山下 恵理子2)
日本医科大学産婦人科1), 葛飾赤十字産院産婦人科2)
【緒言】今回我々は,流産後約1ヶ月にわたり変性子宮筋腫を原因とする高熱・疼痛が持続し,治療に苦慮した症例を経験したので報告する.■ 【症例】症例は,34歳0回経妊0回経産婦.自然月経周期より妊娠成立.妊娠5週1日当科初診となった.初診時子宮は小児頭大に腫大,超音波断層法にて20cm大の子宮筋腫を認めた.胎児は週数相当であり,子宮筋腫合併妊娠と診断した.妊娠11週4日性器出血のため,切迫流産と診断し,安静・腟洗浄治療開始したが,妊娠12週より高熱・下腹痛を併発し,妊娠12週6日流産に至った.流産後も39−40℃台の発熱が持続し,筋腫の部位に一致した強い疼痛を認めた.遺残絨毛への感染も否定できなかったが,変性子宮筋腫への感染を強く疑い,抗菌剤の投与を開始した.血液・咽頭・腟分泌物培養,胸部レントゲン検査を行ったが,異常所見を認めなかったポピドンヨードによる子宮内腔洗浄や複数の抗菌剤の使用も有効とはいえず,約1ヶ月の経過で炎症反応が自然消退した.炎症反応の軽快した流産後40日目,遺残絨毛の一部が自然娩出し,流産後50日目に子宮内除去術を施行.その一週間後に退院となった.現在,子宮筋腫核出術の予定とし外来経過観察中である.■ 【結論】表在性の大きな子宮筋腫は,妊娠中に変性を起こしやすいと報告されているが,大半は鎮痛剤・安静といった加療のみで,7〜14日の経過で軽快することが多い.しかし,本症例では抗菌剤などの効果が乏しく,高熱・疼痛などの強い炎症反応が持続し,治療に苦慮する症例であった.今後,このような難治症例に対する治療法の検討が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
294-294, 2009
|