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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
子宮筋腫合併妊娠 巨大子宮筋腫合併妊娠より健常児を得たのち分娩後の筋腫増大のため子宮全摘術に至った1例
矢木 さやか, 小松 浩司郎, 島村 京子, 亀田 高志, 鏡 一成, 深石 孝夫
桐生厚生総合病院産婦人科
子宮筋腫合併妊娠の頻度は2-4%とされており,近年増加傾向にある.妊娠期間を通じて様々な合併症が生じ,これらに関する報告も多く認められる.その一方で分娩後の経過にまで言及したものは少ない.今回われわれは巨大な子宮筋腫に合併した妊娠で健常児を得たが,分娩後6ヶ月で明らかに増大し子宮全摘術に至った一例を経験したので報告する.症例は29歳,1回経産・1回帝王切開既往あり.今回自然妊娠し近医より子宮筋腫合併のため妊娠8週で当院紹介となった.初診時,子宮後壁右側に長径17cmの筋層内筋腫を認めた.妊娠中,筋腫径はほぼ不変で,切迫流早産徴候や合併症は現れず,胎児発育は良好であった.分娩方法は妊娠37週での帝王切開術とした.術中所見として子宮後面下部に成人頭大の筋腫による膨隆を認めたが手技自体に困難はなく,2874gの児を得た.術中出血量は多く2432ccに達し,自己血輸血で対応した.術後経過は良好で問題なく退院した.分娩後,授乳による無月経の状態で,6ヶ月の間に長径比27%の増大を認めた.そこで帝王切開後7ヶ月目で子宮筋腫核出術に臨んだ.しかし術中,子宮背側より生じた子宮筋腫に子宮動静脈の分枝と思われる血管叢が入り込んでおり,核出は断念,子宮全摘術を施行した.出血量は742ccであり自己血輸血で対応した.病理組織診は平滑筋腫であった.術後経過良好で予定通り退院した.子宮筋腫増大のメカニズムは様々な説が唱えられているが,分娩後,筋腫がさらに増大する報告は少なく,比較的稀な経過を辿った症例と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
296-296, 2009
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