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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
合併症妊娠1 分娩中痙攣発作をおこした本態性血小板血症の1例
今泉 あすか, 田中 宏一, 鶴岡 信栄, 尾本 暁子, 長田 久夫, 生水 真紀夫
千葉大学医学部附属病院婦人科周産期母性科
【緒言】本態性血小板血症(以下ET)は原因不明の骨髄増殖性疾患で,巨核球増多と血小板増加症をきたす.妊娠合併例では,生児獲得率が低く(52%)抗血小板療法など適切な管理が必要とされる.今回われわれは,血小板機能の低下したET合併妊娠例で,分娩中痙攣発作を発症した症例を経験したので報告する.【症例】32歳,1経妊0経産.17歳時にETの診断で一時ヒドロキシカルバミド投与を受けたが,血栓症のリスクが高くないとの判断で中止,28歳時より当院血液内科管理.バイアスピリン投与中,打撲時に巨大皮下血腫を形成し,血小板凝集能低下が見られたため,以後無投薬で経過観察(血小板300万/μl前後)としたところ妊娠.妊娠中,血小板数100万/μl台で推移,血圧・尿蛋白に異常を認めなかった.40週3日に前期破水し,翌日分娩誘発.子宮口5cm開大で内圧計を挿入した際,硬直性の痙攣発作が出現.ジアゼパム・硫酸マグネシウム投与後,気管内挿管による呼吸管理を行い漸く痙攣が頓挫したが,胎児徐脈を認め,緊急帝王切開術を施行.児は3128g,APSは1分4点,5分4点,臍帯血pHは6.761,BEは-19.9であった.術後,母体は抜管せずICUで1日間呼吸管理を行ったが,その後経過は良好であった.頭部CT・MRIに脳梗塞や出血を示唆する所見はなく,脳波でもてんかん初期発作の可能性は低いとされた.児はNICU管理となったが,経過良好で生後17日目に退院した.【結語】ET合併妊娠では,子癇発生率が高いとされる.本症は血小板凝集能の低下があり抗血小板療法を施行しなかったが,子癇発作を否定できない痙攣発作が発生したことから,凝集能低下があっても子癇発作が起こりうることを前提とした管理が必要と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
298-298, 2009
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