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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
合併症妊娠2 極めて重篤な経過をたどったクローン病合併妊娠の1例
手塚 真紀, 樋口 紗恵子, 後藤 美希, 曾根 献文, 野村 香央里, 坂巻 健, 小林 浩一
社会保険中央総合病院産婦人科
炎症性腸疾患Inflammatory Bowel Disease:IBDとは,腸粘膜に慢性の炎症・潰瘍をおこす原因不明の疾患であり,クローン病Crohn Disease:CD,潰瘍性大腸炎Ulcerative Colitis:UCの総称である.当院はIBDセンターを有し,2003年1月〜2008年12月の5年間にCD合併妊娠15例,UC合併妊娠34例の出産を経験しているが,今回妊娠中に急速に増悪し,極めて重篤な経過をたどったCD合併妊娠の1例を経験したため報告する.【症例】30才0経妊0経産.他院で治療受けていたが,妊娠5週3日,CD管理・分娩目的に当院転院となった.食事療法のみで病態落ち着いており,児発育も良好だったが,妊娠29週0日,腹緊,頚管長短縮を認め,切迫早産にて入院.塩酸リトドリン200γまで増量し小康状態を得た.しかし,妊娠31週0日より薬剤性肝機能障害出現し,塩酸リトドリン減量,硫酸マグネシウム投与開始した.肝機能障害は塩酸リトドリン減量に伴い改善したが,妊娠31週5日突如preDIC状態となり同日母体搬送,緊急帝王切開となった.児は良好に管理され,母体も術直後は落ち着いていたが,産褥2日目,突然の大量下血をおこし,出血性ショック,Sepsis,DICとなりICU管理となった.血培からはE.coliなど腸内細菌が検出され,CDの急激な悪化によるbacterial translocationによるSepsisが疑われたため,産褥7日目,CDの治療,感染コントロールのため当院内科に緊急転院した.Septic shockに伴う全身状態の悪化に対し,各科協力の上エンドトキシン吸着,人工呼吸器管理,抗生剤投与,中心静脈栄養による腸管安静等の治療を行い,2か月にわたるICU管理の末,産褥3か月,後遺症なく退院となった.現在当院内科に通院,薬物治療中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
299-299, 2009
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