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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))

【一般演題】
合併症妊娠3
クッシング病術後副腎不全を来たしステロイド補充療法にて分娩に至った一例


神戸 沙織, 阿部 崇, 加藤 雅彦, 中尾 仁彦, 桑原 知仁, 山本 晃人, 稲川 智子, 峯 克也, 澤 倫太郎, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科


副腎機能異常は性腺機能異常を伴うことが多いが,適切なステロイド補充により妊娠例も散見する.しかし妊娠中の副腎機能の変化は複雑であり管理に難渋する場面も少なくない.今回我々は,クッシング病に対して下垂体腺腫摘出術後に両側副腎摘出術を施行しステロイド補充療法中,自然妊娠成立し良好な妊娠・分娩経過を辿った症例を経験した.症例は43歳,1経妊0経産.クッシング病に対し32歳時に下垂体腺腫摘出術施行,35歳時に両側副腎摘出術施行,36歳時に残存下垂体腫瘍に対しγknife治療施行された.ステロイド補充療法としてhydrocortisone40mg/日を内服していた.他院にて不妊治療中,自然妊娠成立し妊娠11週で当院紹介となった.催奇形性の観点よりステロイドをhydrocortisoneよりprednisoloneに変更したところ電解質コントロール不良となったが,鉱質コルチコイド併用にて電解質コントロールも得られた.経過中甲状腺機能低下症及び妊娠糖尿病も併発したが甲状腺ホルモン内服とインスリン導入にてコントロールした.胎児発育は正常範囲内で推移した.内分泌内科医及び患者と協議の上,分娩時のストレス軽減を目的とし帝王切開予定となったが,妊娠37週に羊水過少及び胎児機能不全を認め緊急帝王切開にて2068gの女児をAp9/9で娩出した.副腎不全予防としてhydrocortisone300mgより漸減し術後7日目には30mg/日まで減量できた.また血糖値も分娩後速やかに軽快した.児の副腎機能,血糖値も問題なく,術後16日目母児共に退院となった.副腎機能異常合併妊娠は,母児間の複雑な内分泌環境について不明な点も多いが,他科と密な連携を取ることにより良好な母児管理が可能であることが示された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3) 302-302, 2009


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