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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
合併症妊娠3 妊婦情報のないまま他院内科より心不全のため母体搬送となり,周産期心筋症が疑われた1例
都築 陽欧子, 中島 義之, 木村 翔, 袖山 雅子, 坂井 昌人, 正岡 直樹
東京女子医科大学八千代医療センター母性胎児科
周産期心筋症は,分娩前1ヶ月より産後5ヶ月におこる原因不明の心不全で,3,000〜15,000分娩に1例とされる.今回我々は,他院内科より妊娠情報なく心不全のため母体搬送となり,集学的治療により良好な転帰をとった症例を経験したので報告する.■症例は33歳1回経妊1回経産.妊婦健診では異常を指摘されず経過していたが,妊娠34週3日夕方より頭痛,嘔吐を認め,家族が救急車要請し内科病院に搬送となった.泡沫状喀痰あり,胸部X線写真上肺水腫を認め,重症心不全と診断された.直ちに当院へ搬送依頼あり,ミダゾラムにて鎮静後,気管内挿管され酸素投与,ニトログリセリン,硝酸イソソルビド,フロセミド投与され入院した.入院時,収縮期血圧140mmHg,経皮酸素飽和度30%であり,超音波検査にて約60回/分の胎児徐脈を認め,胎児機能不全にて緊急帝王切開術施行し,入院後9分で児を娩出した.児は2,774g男児Apgar score 1分後2点(5分後5点),臍帯動脈pH 6.71で,新生児仮死のためNICU入院した.手術中,中心静脈カテーテル,Swan-Gantzカテーテル(肺動脈楔入19mmHg,肺動脈圧45mmHg,右房圧11mmHg)挿入し,ドブタミン投与開始した.超音波検査では左室内径短縮率(FS)は19%,左室収縮末期径4.8cmだった.手術8時間後,収縮期血圧50mmHg以下となり,エピネフリン投与,心臓マッサージ施行し,経皮的心肺補助装置,大動脈内バルーンパンピングならびに持続的血液濾過透析を併用した.術後40日目,FSは30%と心機能は回復し,母児とも神経学的異常などは認めず退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
303-303, 2009
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