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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
合併症妊娠3 閉塞性肥大型心筋症合併双胎妊娠の1例
袖山 雅子, 中島 義之, 都築 陽欧子, 坂井 昌人, 正岡 直樹
東京女子医科大学八千代医療センター母性胎児科
肥大型心筋症は,左室流出路圧較差や僧帽弁逆流が増強するため,母体の心不全を来しやすく,心室性不整脈や妊婦の突然死などが問題となるが,双胎妊娠での報告例はない.今回我々は肥大型心筋症合併双胎妊娠の1例を経験したので報告する.■症例は36歳1回経妊0回経産.中学入学時健診にて心雑音を指摘された後,肥大型心筋症と診断されていた.β遮断薬(カルベジロール)内服し,心電図にて心室性期外収縮を認めたが自覚症状はなかった.■自然妊娠にて二絨毛膜二羊膜双胎成立し,妊娠6週より当科外来受診し,妊娠に伴う母児のリスクについて説明した後,家族の強い希望の下,妊娠継続となった.脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は135.4pg/mlであった.妊娠17週に248.0 pg/ml,21週に280.6 pg/mlとBNP値上昇を認めたが,心不全所見はなく,その後BNP値も低下し,外来経過観察していた.妊娠32週4日,安静目的のため管理入院とした.妊娠36週6日,選択的帝王切開術を脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔下に行い,第1児2,212gの女児Apgar score 1分後8点(5分後9点),第2児は2,486gの男児Apgar score 1分後8点(5分後9点),出血量1,678gで分娩した.手術後よりICUへ入室し術後管理を行い,しばしば心室性期外収縮や非持続性心室頻拍(NSVT)が頻発して認められた.産褥7日目,BNP453.2pg/mlであったが,心不全の悪化所見はなく,NSVT回数も減少したため退院となった.現在,産褥50日目で外来経過観察中であるが,心不全など認めず,BNP値も73.9 pg/mlに低下し,経過良好である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
303-303, 2009
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