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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
子宮筋腫 長期放置した巨大子宮筋腫は深部静脈血栓症の原因となりうる
宮田 歩美, 喜多川 亮, 鈴木 麻水, 近藤 一成, 佐藤 奈加子, 忠内 薫, 杉田 匡聡, 角田 肇
NTT東日本関東病院産婦人科
【緒言】肺血栓塞栓症(PE)は術後合併症の中でも最も重篤なものであり,その原因の殆どは深部静脈血栓症(DVT)であることから,DVT/PE予防ガイドラインが本邦でも作成されている.一方近年,手術適応となる巨大子宮筋腫でも手術の同意が得られない症例も多い.今回我々は,DVT/PEを発症し,術前からの抗凝固療法による周術期管理を要した巨大子宮筋腫手術例2例を経験したので報告する.【症例1】44歳,未婚未経妊.突然,左下肢の浮腫・疼痛・発赤が出現し,下肢DVTと診断された.5年以上前より手術を勧められるも放置していた巨大子宮筋腫(最大径18cm)が原因と思われ,偽閉経療法と抗凝固療法を施行したが,一部器質化した血栓の残存があり,下大静脈フィルター挿入下で腹式単純子宮全摘術(TAH)を行った.経過良好にて術後8日目に退院となった.【症例2】49歳,未婚未経妊.子宮筋腫(最大径11cm)のため3年前まで当科通院するも,以後来院せず.突然の呼吸苦から肺高血圧・両側PEと診断され,前医にて下大静脈フィルター挿入し抗凝固療法にて症状改善した後,当院にて抗凝固療法下にTAHを行った.経過良好にて術後13日目に退院となった.【結語】巨大子宮筋腫が原因となったDVT/PEを1年間に2例を経験した.長期放置による骨盤内静脈の強度圧迫が直接原因と思われるが,生涯未婚率増加に伴う内性器への無関心さが潜在要因となっている可能性もある.良性疾患であっても大きさと病歴によっては,DVT/PE発症に留意し,術前スクリーニングおよび周術期管理を行わなければならないと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
304-304, 2009
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