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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
子宮筋腫 腹腔鏡手術で治療し得た子宮筋腫茎捻転の5症例の組織学的検討
山田 いづみ, 地主 誠, 黒田 恵司, 松岡 正造, 熊切 順, 菊地 盤, 北出 真理, 竹田 省
順天堂大学産婦人科
【緒言】子宮筋腫は生殖年齢女性の約30%に認められるが,筋腫茎捻転の報告は稀である.腹腔鏡下に治療し得た子宮筋腫茎捻転の5症例に対し,病理学的考察を加えて提示する.■【方法】患者の平均年齢は37歳で,疼痛の原因となった有茎性筋腫の大きさは6〜10cmであった.症例1〜4は腹腔鏡下筋腫核出術(LM)を予定していたが,4例とも術前のGnRHa投与中に急性腹症を認めた.そのうち症例1〜3は症状軽快せず,子宮筋腫茎捻転の診断で緊急手術となった.症例4は下腹痛が軽度であり,GnRHaを継続し予定手術としてLMを行った.症例5は急性腹症で当院を受診し,同診断で緊急手術となった.手術方法は血管鉗子で茎部を挟鉗後,モノポーラーで切断し筋腫核を摘出した.挟鉗した茎部を2重結紮し,筋腫核は電動式モーセレーターで回収した.■【結果】子宮筋腫の茎捻転は,捻転の程度により3つの形態に分類できる.血行動態に軽度の変化を及ぼす可逆性変化,静脈閉塞によりうっ血や微小血栓をきたす不可逆性変化,動・静脈閉塞のため虚血,梗塞をきたす不可逆性変化である.筋腫茎は全ての症例で直径2〜3cmで,症例4以外は子宮筋腫の茎捻転を認めた.症例1は270°,症例3は540°に捻転しており,筋腫核は暗紫色を呈し病理学的に微小血栓や梗塞を認め,動・静脈閉塞であると考えられた.症例2は90°,症例5では360°に捻転しており,筋腫核は暗褐色で病理学的にうっ血像を認め,静脈閉塞が示唆された.症例4では捻転は認めず,可逆性変化と考えられた.全ての症例で術後経過は順調で,症例5は術後6カ月目に妊娠が成立した.■【結論】漿膜下筋腫の経過観察中に急性腹症を認めた場合は,筋腫の茎捻転も念頭に置くべきである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
306-306, 2009
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