|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
術式の工夫と麻酔 帝王切開手術における,真皮埋没縫合の導入
中山 毅, 石橋 武蔵, 田中 一範
JA静岡厚生連静岡厚生病院産婦人科
【目的】Scarless healingは,患者のみならず外科医の多くが望んでいることである.創縁にかかる緊張を十分に減張し,かつ表皮や真皮を正確に合わせることが重要であるとされる.平成19年より,当院では帝王切開の閉創に真皮埋没縫合を導入している.今回,帝王切開における,真皮埋没縫合の創傷治癒に対する有用性を検討したので報告する.■【方法】帝王切開119例(真皮埋没縫合59例,表皮をクリップで固定した60例)につき,手術時間,真皮癒合不全,Surgical site infection(SSI)の有無につき,比較した.対象はpfannenstiel切開のみとした.真皮埋没縫合は,皮下組織は基本的に縫合せず,真皮を4-0 PDSIIを用い,単結節にて埋没縫合とし,創傷被覆材(カラヤ®)を貼付した.■【結果】手術時間は埋没縫合群が53.8±9.9分,クリップ群が49.3±6.5分であった.娩出より終了までに要した縫合時間は,41.0±8.5分,39.5±8.5分であった.いずれも埋没群が延長.一方クリップ群と比較して埋没群の方が,真皮癒合不全8例(13%)が3例(5%)に,SSIの頻度が,4例(6.7%)が0例と減少していた.真皮縫合に要する時間は6.2±1.1分であった.また抜糸や抜鈎も不要なことから術後管理も簡便であった.■【考察】閉創の基本は,癒合不全やSSIを起こすことなく,肥厚性瘢痕のない術創を目指すことである.帝王切開における真皮埋没縫合の導入は,手技も難しくなく,また創傷治癒の点からも有用であると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
307-307, 2009
|