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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))

【一般演題】
感染症
外陰ヘルペス既往のない妊婦より出生した新生児ヘルペス全身型の1例


窪 麻由美, 田嶋 敦, 遠藤 周一郎, 祖川 侑子, 矢田 昌太郎, 上山 和也, 永井 富裕子, 北野 孝満, 田口 雄史, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科


新生児ヘルペスは全身型,中枢神経型,皮膚型の3病型に分類され,そのうち全身型は全身諸臓器が感染し,臓器症状,特に肝機能症状が著しく,重篤な病型である.新生児ヘルペス全身型における治療成績は良好ではなく,その最大の理由は発症症状が非特異的であるために診断,治療が遅れることと言われている.今回我々は母体にヘルペス症状がなく,重篤な経過をたどった新生児ヘルペス全身型の1例を経験したので報告する.【症例】34歳.1経妊0経産.妊娠経過に特記すべきことはなかった.40週0日前駆陣痛であったが入院.翌日,翌々日と微弱陣痛にてオキシトシンにて陣痛促進するも進行せず,40週3日プロスタルモンFにて陣痛促進した.分娩は進行し,子宮口9cmで人工破膜を施行,羊水混濁は認めなかった.その後,変動一過性徐脈を認め,NRFSの適応にて鉗子分娩となった.児は3784g,Apgar score 1分値9点,5分値10点であった.児は日令3に発熱を認めWBC11200,CRP6.2と上昇したため,NICU入院となった.SBT/ABPCとAMK投与開始するも日令5の胸部レントゲン上肺野透過性低下し,酸素投与となった.日令6にCRP上昇傾向となったため,抗生剤をVCMとEMに変更するも日令8に呼吸状態悪化し挿管,抗生剤をVCMとCZOPへ変更するも改善なく,遷延性肺高血圧症が出現し,日令10に死亡した.児の咽頭ウイルス分離より,HSV-1が検出され,病理解剖検査にて新生児ヘルペス全身型と診断された.【結論】新生児ヘルペスは母体感染兆候がなくとも発病し得るものであり,児の治療成績向上のためには,早期診断,早期治療が必要とされる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3) 313-313, 2009


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